「モダニズム建築 —外観篇—」

モダニズム建築 —外観篇—
嵐山カントリークラブ クラブハウス」

「途絶えてしまった水平線」

当初の設計には、今の中央階段はなかった。

外階段消してみた

思うに天野先生は、まず鉛筆で地平線を描き
その上にもう1本の水平線を描く
それが水の流れを作り、左側の溜まりを創った
(このアールの部分は大浴場でちょうど呼応する)

そして建物が風景と呼応し、空と大地を結ぶ線だった。

「計算して出来るものではなく、感覚で描かれた線」
その意図を想うと、失われた水平が惜しくてならない。

機能は増しても、美学が失われる——。
だが、
——建築は、時代の価値観を映す鏡。
だから、
建築は生きている。


デザインを描くものとして、
形から気づき思う事はとても、多い。
今は違うデザインを描いているけれど、
60年前の天野先生の想いを大切にして行きたい。

一般公開されていないクラブハウスを、
快く見学させていただきまして、心より
ありがとうございました。
これからも、長く維持されていかれますよう
未来へ引き継がれますように。

とても幸せな時間でした。
ブルーティアラデザインアトリエ 山﨑隆一郎

◎嵐山カントリークラブ クラブハウス 基本情報
・設計:天野太郎(1918–1990)研究室
 フランク・ロイド・ライトの薫陶を受け、
 日本の戦後モダニズムを代表する建築家。
・竣工年:1961年
・改修設計:メグロ建築研究所(保存再生)
・施工:白石建設
・構造・規模:鉄筋コンクリート造(一部鉄骨造)、地下1階・地上2階建て
評価/受賞
 ・DOCOMOMO Japan「日本におけるモダン・ムーブメントの建築」に選定
 ・第30回 BELCA賞 ベストリフォーム部門 受賞
 ・JIA(日本建築家協会)25年賞 選出
建築的特徴
 ・水平ラインと円形の曲面が融合したファサード
 ・トップライトを活かした柔らかな光の演出
 ・自然との調和を意識した造形美
クラブについて
 ・コース設計:小寺酉二(名匠による18ホール)
 ・1962年 正式開場
 ・初代名誉会長は岸信介

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